一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2016年2月12日(金)

THE 座談会 [人口減少時代をかんがえる]第5回(全6回)

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第5回

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回 居住地の選択 ―――――――――――――

(岡本)司会
700人とか800人でやっている自治体が今現在あるという状況も踏まえて、さらに人口減少になっても小さなまちとしてやっていくという方向なのか、あるいは「町じまい」まで考えないとだめなのか、過去にあったように、また人口が増えるという局面をまた迎えるのか…。

岡本浩一

岡本浩一

そこで、もう少し長期スパンで考えるということも必要なのではないかと思いますがいかがでしょうか。

(押野)
生沼さんに聞きたいのですけれども、夕張は全国的に注目を浴びていて、夕張は細長いところで、段階的に集約していくというまちづくりを目指してやっていっています。

今の人口減少になったときに、各自治体が限りなく0に近づくということが、夕張市の中で地域ごとに既にそういうことが起こってきているのかなと。コミュニティーが成り立たないところは、中心ではないけれども拠点に移して、段階的に一つにまとまっていきましょうというコンセプトだったと思うのです。

それは、結構地元の人のお爺ちゃん・お婆ちゃんは受け入れているものなのか。なかなか、私はここにいたいという意識が強いのか。その辺は、ありますか。

(生沼)
都市軸に募集をやっていますよというステージ2段階。まずは、地域ごとに集約しましょうということで、ステージ2段階になると、二つ・三つくらいの集落は都市軸のほうに移りましょうというような絵はかいています。

都市計画マスタープランをつくる段階では、対象となったところは、強制的にこちら側に移ってくださいといっているわけではないですよということをきちんと理解してもらう。ただ、今後の行政のまちづくりとしては、こちらが都市づくりをきちんとやっていきますということを説明して、その中で、ここに住むことを否定しているわけではないので、住みたいところに住んでくださいという選択肢を与えている。

そこが大事で、高齢者は、自分の住み慣れたところがいいというのであれば、それは全然否定しないので住んでいます。将来的には、こうなるということは住民の人はきちんと理解しています。ただ、自分は住みたい所に住むという。住み慣れているからここに住みますという意識ですね。

(押野)
そうすると、最初に岡本先生がおっしゃった5,000人くらいの人口の自治体が、1,000人以下くらいにまで減ったとしても、今の生活のサービス、公共が提供しているようなサービス水準が、今と同じように受けられなくなる可能性がある。

それでも住み続けたいかというところの議論になってしまうのかなと思うのです。

(生沼)
その人たちは、住み続けられるように自分たちで努力しようという意識になったのです。意識がそう変わったのです。自分たち(住んでいる側)も突き付けられたと思うので、自分たちも住んでいけるように努力しましょうという意識になったのはすごいなと思います。

(岡本)司会
動かないで、努力するほうを選んだ。

(生沼)
自分たちで努力しましょうと。

(押野)
ここでも、除雪が入りにくくなるかもしれないけれども、自分たちでやろうやという。

(生沼)
実際、そうなっているかどうかはわからないですけれども。

(押野)
ある程度の我慢はするよ、受け入れるよという。

(生沼)
夕張は夕張で、炭鉱という土地柄があって、DNAとしてそういうコミュニティー意識が強いところなので、ある地域のところは、大学の研究室にいた頃にやったのですけれども、地区内に市営住宅があって、歯抜けに住んでいるのです。一棟18戸あるところに4世帯しか住んでいないという。電気もまばらなところなのです。それは、集まったほうが行政としても効率がいいし、住んでいる側としても暖房費とか。

川尻雅裕 生沼貴史

川尻雅裕 生沼貴史

それをやろうといったときも、喧々諤々としたところはあったと思うのです。私はそこの中にきちんと入っていないのでわからないのですけれども、あるコミュニティー組織があるので、聞いた話ですけれども、親分肌の人が、俺は移ると言ったら、みんなが移ろうかということになったという、そういう感じで口説いたらしいのです。

そういうコミュニティー構造をきちんととらえるということは大事だろうなと思います。

(川尻)
空き家でいえば、空き家に住む、空き家で商売をするということが大きな目的として一つあると思うのです。

でも、空き家Aに住むという、それは目的ではない。そこに、例えば仕事に行くとか、そして移り住む。そういった別の目的があって、それを生活のために住む場所が必要だ。それが空き家Aかもしれないし、空き家Bかもしれないというところなのかな。

(生沼)
いろいろシミュレーションするのですけれども、減るのは高齢者なのです。圧倒的に高齢者が減るので人口減少する。

若い世代を見ると、割と横這いなのです。となると、今後いろいろ投資していくときに誰を向くのかというと、高齢者は高齢者で大事なのですけれども、若い世代が住める環境をつくることが非常に大事だということで、夕張の場合は暮らす場がないので、住宅をきちんと、住める場をつくりましょうということになるとは思うのです。

結構、人口減少だからこそ高齢者ではなくて若者に目を向けて、若者が住めるような環境にするテレワーク、そういう環境をつくるほうが大事だなと思います。

そうなると、土地本位ではなくて若者が暮らせる環境くらいでつくっていかないとだめなのだろうなと思います。

(岡本)司会
余暇、田舎だと楽しみがないということもある。

(押野)
高校生アンケートをやると、ありますね。遊び場、買い物をする所がない。

(生沼)
TSUTAYAがないとか。

(岡本)司会
それは、先程押野さんが言っていた、稼げばどうにかなるのでしょうか。ガッポリ入るという暮らしだったら、時間をつくって、電車でも飛行機でも、車でも、好きな所に行って、まちに出て。

(押野)
それは、最初に生沼さんが言っていたように、一度は出てみたいというところがあると思うのです。

(岡本)司会
出て戻ったとしても、結局暇な時間を楽しめるものがない。

(押野)
例えば、このまちはネット環境をすごく良くするとか、インフラに力を入れて、ネット社会だから、町民はWi-Fi無料ですとか、Wi-Fi環境を整えますとか。そういう環境が整えば、ネットで映画を見ようとか、買い物もネットでできたりするから、そういう余暇ができるのかなという。

生沼貴史

生沼貴史

(生沼さん)
年齢層にも依りますけど,遊びたいのなら出て行けばということになるように思います。

(押野)
買い物をしに行くということも、対面した買い物、洋服を買いに行くとか、家電買いに行く、本を買いに行くという、現物と接するものに関しては大きなまちに行かなければないのかなとは思うけど。

(岡本)司会
おしゃれな喫茶店があるとか、歩いてトボトボしながらサード・プレイスがあるという暮らしは、田舎ではできない。

(押野)
話がずれるかもしれないけれども、狸小路の7丁目・8丁目は、若者がチャレンジできるような雰囲気づくりができてきているじゃないですか。チョイ古系の感じのレトロ感が出ていたりしていて、そういうところにひかれる若者が結構多いのだなということを感じているのです。

岡本先生が、田舎だからおしゃれなものがないということではなくて、そこを感じる感性を若者が、そこでなにかをやろうという感性がポイントなのではないか。それが、見ていて、あそこ格好いいじゃんという高校生とか。

意外と、アメリカンナイズされた電飾がピカピカしたようなものがよかったりするかもしれない。

(岡本)司会
結局、都市に住むとか、都市で暮らして日常を生活するようになると、いろいろな選択肢を手に入れられるけど、そのうち趣味嗜好が明らかになってきて、ある程度の絞られた店にしか行かないとか、あまりチャレンジしなくなると思うのです。

そのときに、そこの見えている嗜好とある地域の嗜好がマッチングしていれば、そこは選択肢に入ってくると思うので、都市に暮らしている人が皆多様な暮らしをしているわけではなくて、限られたところ、自分の好きなところに通うというスタイルが、割と多いと思うのです。そのときに、余暇というときに、ちょっと別な所に行くとか、ちょっとおいしい情報を聞いたから行ってみるということがあるから、都市に住んでいたほうが若干おもしろいかなという感じは常に持っていると思う。田舎に住んでしまうと、そういうものがすごく魅力的に映る状況があると思う。

そこも踏まえて、都市の人が自分の趣味、好きなところが、あそこにもある、あそこのほうがグッとくるというものが見えるようにそれぞれのまちの個性が出るといいのかなという気がします。

(川尻)
若い高校生も、東京に行きたい、札幌に行きたいと思ったら、僕は行けばいいと思う。そこでいろいろ体験して、考えを深めて、自分の地元はどんな所だったのかということを改めて感じて、そこで帰りたいなと思えば帰ればいい。

逆に、地元ではない、まったくの第三者。海外の人でもいいと思うのです。それがニセコだと思うのですけれども、その土地の魅力。これは、すごいと。夕張の閑散としたまちの雰囲気がアートになると思う人がいるかもしれない。その人は、きっとそこに住むのです。

そういった人の循環があっていいかなと思います。極端な話かもしれないですけれども、移民の人とか、どんどん受け入れて、いろいろな文化の人を受け入れて、そこで新しいまちの魅力をつくる。それは、もともとあるものを引き出してもらうことでもいいと思うのです。そういったものは、北海道という土地に可能性があると思うのです。

誰でも来てという、守るではなくて来てということ。オープンな形でやるほうが、前向きな感じがするのです。

(生沼)
そういう意味で、減少している地域だからこそ、外の人を受け入れるような体質や環境をつくらなければいけないと思うのです。

(つづく)