一般社団法人 北海道まちづくり協議会

北まちブログ

2016年7月8日(金)

【レポート】 平成28年度 第1回 まちづくりゼミナール

平成28年度 第1回 まちづくりゼミナール
「不動産の再開発と地価」~都市再開発がもたらす地価への影響~

平成28年6月28日(火)、緑苑ビル2階201会議室にて当協議会会員の一般財団法人日本不動産研究所 北海道支社 川尻雅裕氏を講師にお迎えし、道内及び札幌市内の事例を紹介しつつ、都市再開発がもたらす地価への影響について、総勢25名のご参加をいただき開催されました。まちづくりゼミ第1回a
ご講演は、不動産(土地)の価値を構成する要因のご説明から始まり、不動産価値は、その地域の人口、産業構造やその自治体の財政状況及び地域が持っている特性、またその土地が持っている個別特性などが複合的に構成された経済価値であるとのお考えのご披露がありました。
続いて札幌市を事例にした、人口動向分析及び経済動向分析のご説明があり、①札幌市は過去より人口増加が続いている ②しかしその増加率は近年鈍化傾向である ③近年の人口増加の要因は市外からの転入によるもの、また経済動向においては ①過去市民総所得は顕著に伸びていたが、近年は伸び悩み傾向である ②しかし近年の一人当たりの所得は減少傾向であることとして、過去札幌市においては人・物・金を市外より呼び込むことで人口及び経済規模の拡大が図られた側面が大きく、今後の課題として、高齢化が進むなか、経済生産性を高め一人当たりの所得(豊かさ)を高める必要があるとのご見識がありました。
まちづくりゼミ第1回bまた、近年の不動産市況を取り巻く環境分析について、様々な経済指標を用いてのご説明があり、近年の不動産の経済環境は、①不動産事業における資金調達環境は改善されつつあるが、②積極的な投資と資産整理が同時に進んでいる傾向にあり、③不動産の選別が厳格化されているとのことで、札幌市の地価上昇と道内の他市町村の地価下落という二極化が鮮明になり、更に市町村内部においても地域格差が鮮明になっているとのデータ紹介の下、地域経済と地価の関係は密接に関係し、地域経済の活性化と地価の上昇は相関関係にあることとのご説明がありました。
その実例として、近年の札幌市での、札幌駅前地区と大通り地区との比較検討のご披露があり、過去 相続税路線価において大通り地区が駅前地区を大きく上回っていたが、駅前地区の大型商業施設を含む駅舎の再整備を契機として、その価格が大きく逆転している状況のご説明があり、地域経済の活性化及び地価の上昇を促進させる手段としては、都市再開発が有効でるとのご認識のご披露がありました。
ご講師が持つ豊富な資料やデータを駆使したお話に、普段より日常の中で密接に不動産と関わっている参加者にとって大変興味深いご講演となり、また、ご講演終了後には、参加の皆様とご講師を交えた懇親会においても楽しく意見交換がなされ、大変有意義なまちづくりゼミナールとなりました。

(北海道まちづくり協議会 交流研修事業部会長 内山靖久)