一般社団法人 北海道まちづくり協議会

北まちブログ

2014年11月20日(木)

【レポート】 平成26年度 防災・減災研究会活動 災害図上訓練

「茨戸南町内会における災害図上訓練の実施」

今年度の現地調査活動の一環として、当協議会の山口常務理事が町内会長を務めている縁で、平成26年10月25日(土)茨戸南町内会において、災害図上訓練(以下「DIG」)を実施しました。研究会からは6名がアドバイザーとして参加し、町内会からは21名の参加があり、主婦から高齢者まで幅の広い年齢層の参加となりました。以下、その模様をレポートします。

DIGの目的は、洪水災害が想定されている町内会の住民一人ひとりの防災意識の高揚を図り、迅速な避難を行うことを目指しています。
内容は、以下のとおりです。

①「災害時の避難の考え方」と題した講演
災害は怖いものだという認識はあるものの、「自分の住んでいる地域には災害は起きない」、あるいは、「自分は災害に遭わない」等、自分の都合の良いように思ってしまう心理から、避難情報に従わない人が沢山いる。このような、現実を踏まえて、「どうしたら迅速な避難」をしてもらえるのかといった観点から講演を行いました。平成26年9月11日に北海道に発令された「大雨特別警報」の時の状況や、ハザードマップの見方、防災に対する日頃の備え等について講演を行いました。
20141025_00120141025_002

②「防災クイズ」
防災クイズをとおして、防災知識を高めることを目的に行いました。「避難場所の開設は誰が行うのか」、「ペットの避難で正しいもの」、「災害用伝言ダイヤルの電話番号は?」といった設問で行いました。

20141025_00320141025_004

③災害時図上訓練
洪水による浸水が予想されている町内域について、札幌市が作成した洪水ハザードマップに基づき、「自分の住んでいる家の浸水の深さを確認する」、「危険と思われる箇所を確認する」、「避難時に支援が必要な方を確認する」等について、町内会の参加者が地図にマーキングするといった作業を行って頂きました。
「自分の住んでいる家の浸水の深さを確認する」作業は、洪水災害から命を守るための適切な避難方法を促す目的で行いました。2m以上の浸水が予想されている場合、建物の2階に避難せず、避難場所へ避難をする。さらには、浸水が始まる前に、避難を完了していなければならないことを伝えました。
20141025_00520141025_006

④ワークショップ
「③災害図上訓練」から明らかになった課題について、テーブル毎にまとめ、発表して頂きました。
20141025_00720141025_008

主な課題を紹介します。
・現在、指定されている避難場所が適切なのかどうか、今後、話し合いが必要
・行政に頼らない町内会として防災活動の強化が必要
・高齢者等の避難については、近所の協力が必要である。特に、若い人の協力が必要
・避難訓練が必要
・災害情報や避難情報に留意するとともに、町内会独自の避難情報の周知方法の検討
・避難に使用する道路の状況を普段から確認する
・冠水対策として、雨水桝等の清掃が必要

などなど、沢山の意見が出されましたが、全ての参加者がこのような意見を共有できたことが良かったと思います。

⑤総括
明らかになった防災の課題について、今後、どう町内会で対応したら良いのか等、高森座長からアドバイスがありました。
20141025_009
このような災害図上訓練は、行政主体で実施する場合は、日頃から溜まっている行政に対する不満を述べる住民の声に押され、本来の目的を達成することが困難となる場合が見受けられます。しかし、防災・減災研究会のような自主研究組織が行うことで、参加者が一体となり、「共に考える」ことが出来る場を作ることができるのではないかと思いました。地域の防災・減災に貢献できる研究会を目指して、これからも活動していきます。

 レポート作成:防災・減災研究会 佐藤 潤