一般社団法人 北海道まちづくり協議会

北まちブログ

2017年3月7日(火)

[レポート]平成28年度 まちづくり研修会

『人口減少時代に挑む!“~地方創生へのヒント~”』

平成28年11月10日(木)、北海道立道民活動センター かでる2・7(820号室)において、『人口減少時代に挑む!“~地方創生へのヒント~”』をテーマに平成28年度まちづくり研修会が、タイムリーな講演内容だったせいか、多くの道内自治体の方々のご参加もいただき、総勢90名と盛会に開催されました。
当日は、当協議会会長の能戸裕之からの挨拶から始まり、国土交通省 国土交通政策研究所 研究官 地方創生コンシェルジュ(北海道担当)大野佳哉様により「人口減少の下でのまちづくり」と題した基調講演をいただきました。
続いて、地元の人口減少問題と地方創生にご熱心に取り組んでおられる自治体の事例として、沼田町長 金平嘉則様、夕張市まちづくり企画室 主幹 佐藤 学様より各種取組みについてのご講演をいただきました。
その後、空き地・空き家についての調査研究に取り組んでおられる一般財団法人 日本不動産研究所 公共部 主任専門官 高岡英生様より、空き家の現状と実態調査の課題についてご紹介をいただき、当協議会独自に道内の市町村へ実施した、空き地・空き家に対するまちづくりアンケートの調査結果(状況報告)を行いました。
研修会後半は、ご登壇いただいた皆様と共に、当協議会の交流研修事業部会の石塚雅弘氏を進行役とする意見交換会を行いました。
 大野様のご講演内容は、「人口減少の下でのまちづくり」と題して、出生率の低下と共に人口減少が避けられないとする予測データのご紹介から始まり、現住居地域においても無住居化や住居減少が進み、特に北海道では、50年後にその現住居地域の約半分が無住居化になる可能性があるとのお話しがデータと共に示されました。
こうした中、地方創生への事業展開が本格的に進む段階で、国土交通省における「長期ビジョン」と「総合戦略」の全体像のご説明があり、基幹集落に生活機能等を集めた「小さな拠点」を核とする「ふるさと集落生活圏」の形成やその取組事例、またコンパクトシティと、交通などとの各種ネットワークとを連携した多極ネットワークコンパクトシティに関する話題提供がありました。
 自治体の事例紹介では、沼田町長 金平嘉則様より「地方創生と沼田町の未来」と題して、地元の地域医療の崩壊に直面した後、その課題を克服した事例や同町の農村型コンパクトエコタウン構想の策定及び国の補助金を含むその実施内容についてお話しをいただきました。
特に関心させられた事は、町内において町民との対話集会、勉強会やワークショップを数多く開催し、町と町民とが新たなまちづくりに向けた認識を共有してきたことでした。

 つづいて、夕張市まちづくり企画室 主幹 佐藤 学様より「課題こそ夕張の商品!できない理由が最大の敵」と題して、財政破綻後に同市に蔓延していた「自分には関係ない」「誰かがやってくれる」と言った他者依存、「お金がない」「人がいない」等を主語にチャレンジからの逃避などと言った体質から「出来ない理由を主語にせず「夢」を主語にチャレンジする町」へ脱却する為、関わり人口(知恵の交流)の創出、課題の可視化などの連鎖を進めた内容についてお話しがあり、廃校を活用した集落機能の集約化、地元高校の魅力化など、かつての課題をチャンスに変えている取組み事例をご紹介していただきました。

 空き地・空き家に関しては、一般財団法人 日本不動産研究所 公共部 主任専門官 高岡英生様より「空き家の現状と空家実態調査の課題」と題して、国内の空き家数が、継続的に増加傾向にあることの他、空き家としての判断が困難な空き家が多数あることなど、空き屋実態調査に関する課題についてのご見識がありました。また、空き家に対する取組み事例として、同研究所が支援されている本別町の低所得高齢者向け空き家活用についてのご紹介がありました。
また当協議会が道内市町村に対して実施した「空き地・空き家に対するまちづくりアンケート」の集計結果の報告では、回答市町村の90%以上が、各市町村の特性を考慮した空き地・空き家対策を行っている、又は対策を検討しているとの結果が報告されました。
意見交換会では、当協議会の交流研修事業部会の石塚雅弘氏の進行役の下、先の基調講演及び事例紹介の内容に基づき、ご講演いただいた皆様と共に、地方創生への取組みのご感想や特徴的な取組みの事例、まちの(小さな)拠点づくり、空き家問題、更には地方創生の将来展望等について活発な意見交換がなされ、その地域の特性を活かした人口減少化でのまちづくりへのヒントになったのではと感じております。

最後に当協議会の副会長である岡本浩一より当日のご講演者及びご参加いただいた皆様への謝辞があり、大変有意義なまちづくり研修会となりました。

 

 

 

 

(レポート:一般社団法人 北海道まちづくり協議会 交流研修事業部会長 内山靖久)