『まちの中心を考える~新たな再編・再生へのヒント』
平成29年11月8日(水)、北海道経済センター(札幌商工会議所)8階 大ホールにおいて、
『まちの中心を考える~新たな再編・再生へのヒント』をテーマに平成29年度まちづくり研修会が、多くの道内自治体の方々のご参加もいただき、ご講師も含め総勢92名と盛会に開催されました。
当日は、当協議会会長の能戸裕之からの挨拶から始まり、一般社団法人 日本メインストリートセンター 副代表理事 内藤英治様より、人口減少社会が進む中での『まちの中心』に必要な政策に関する基調講演をいただきました。
続いて、施策、取組事例として、中小企業庁 経営支援部 商業課 中小小売商業第一係長早川ちひろ様、札幌駅前通まちづくり㈱ 代表取締役社長 白鳥健志様のお二人から、それぞれ取組みされている施策の事例についてのご講演をいただきました。
研修会後半は、早川様を除くご登壇いただいた皆様に加え、これまで道内各市町村の都市 マスタープランや中心市街地活性化等まちづくりに携わってきた㈱ドーコン 都市・地域事業本部総合計画部 参与 石塚雅弘様にご登壇きただき、北海道科学大学 未来デザイン学部人間社会学科 教授 濱谷雅弘氏を進行役として意見交換会を行いました。
内藤様のご講演内容は、「人口減少社会の『まちの中心』に必要な政策のあり方」と題して、人口減少社会が進む中、地域やまちの中心の再生に関するこれまでの法則が成り立たなくなっている現状を踏まえ、コンパクトシティ、限界自治体、空き家・空き地、稼ぐ力などをキーワードに、これからの「まちの中心」の再生に関して、地方自治体が取組むべきヒントして、「エリアマネジメント」の必要性や、世界先進都市の3千エリアへ拡大している「エリアマネジメント」の手法の例として、地方自治体や地域が持つ歴史的骨格をベースに、その自治体や地域の「拠点」と「メインなストリート」を結び、小さなエリアからマネジメントしていく「メインストリートプログラム」のご紹介がありました。
施策・取組み事例紹介では、中小企業庁 経営支援部 商業課 中小小売商業第一係長 早川ちひろ様より「商店街とまちづくり」と題して、全国及び道内の小売業や商店街の現状や商店街地域における「空き地、空き家」現状やその活用事例などを同庁が持つ豊富なデータを基にご紹介がありました。また同庁が本年7月に公表した「新たな商店街政策の在り方検討会中間取りまとめ」の概要説明では、今後の商店街の課題として自治体、商店街店主や住民が一体となったマネジメント組織体を編成し、地域に適合した商店街、中心地の形を見つけなければならないとのご見識のご披露がありました。ご講演の最後に同庁による北海道を始めとする全国の商店街への支援事例やまちづくりとの連携事例をご紹介いただきました。
つづいてのご講演は、札幌駅前通まちづくり株式会社 代表取締役社長 白鳥健志様より「札幌駅前通地区のエリアマネジメント~まちづくり会社とエリアマネジメントの関係~」と題して、官民一体となったまちづくりが評価され2017年度日本都市計画学会『石川賞』を受賞し、全国的にも注目を浴びている「札幌駅前通地区のエリアマネジメント」について、当該地区のエリアマネジメントの中枢を担っているまちづくり会社に視点を当て、その仕組みや役割などのご説明がありました。具体的事例として、同社が管理マネジメントしている「札幌駅前地下歩行空間(チ・カ・ホ)」や「札幌市北3条広場(アカプラ)」の事業概要やその事業収益を基に地域の新たなまちづくり活動に繋げて行く事業活動についてご紹介していただきました。
研修会後半の意見交換会では、当協議会の相談役でもある北海道科学大学 未来デザイン学部人間社会学科 教授 濱谷雅弘氏の進行役の下、㈱ドーコン 都市・地域事業本部総合計画部 参与 石塚雅弘様にもご登壇き、基調講演及び施策・取組み事例紹介の内容に基づき、ご講演いただいた皆様と共に、まちの拠点の考え方や再生や再編への取組みのご感想、特徴的な取組みの事例、空き地・空き家の活用などについて、ご登壇の皆様からのご意見やご経験談のご披露がありました。
またご来場の自治体の方々と登壇者との間での問答もあり、活発な意見交換会がなされました。
御参加いただいた皆様には、その地域の特性を活かした人口減少下での「まちの中心」の再編・再生へのヒントになったのではと感じております。
最後に当協議会の副会長である岡本浩一より当日のご講演者及びご参加いただいた皆様への謝辞があり、大変有意義なまちづくり研修会となりました。
レポート作成:
一般社団法人 北海道まちづくり協議会
交流研修事業部会長 内山靖久