一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2016年1月13日(水)

THE 座談会 [人口減少時代をかんがえる]第3回(全6回)

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第3回 Uターン,Jターン ―――――――――――

(岡本)司会
人が減ると学校が減るということもありますし、そのせいで戻ってこなくなるというか。出て、勉強して、友達ができて、人の繋がりができて、そのまま就職して戻って来ないということもありますが、それを戻そうという。
戻るのですか。戻ると思いますか。

生沼貴史

生沼貴史

(生沼)
今、人口ビジョンをやっているので考えるのですけれども、北海道を考えると、北海道の地方は札幌に来ます。札幌に来たら東京に行くというような人の流れになっています。地方出身の職場の先輩の話を聞くと、自分が地元に戻りたいかと言ったらクエスチョンマークがつく。
なぜかというと、結構、昔のヤンキーの人が地元に残っていて、取り仕切ったりしていて、子どもの頃の人間関係がそのまま大人になって戻ったときに働くのが嫌だということで戻りたくないという人がいます。
そうなると、UターンではなくてJターンかな。

(押野)
ちょっと手前でみたいな。

(生沼)
自分の故郷ではなくて、似たくらいの田舎に戻って仕事ができればいいのかなという話はします。積丹だった人は、小樽とか、手前の古平とか。
それでも人の繋がりはありますから。

(押野)
仕事があるかないかということも大きな要因としてあるのかなと。
たまたま、人口ビジョンの仕事をしていると、町民の方にアンケートをやると、自分のまちは好きなのです。自分のまちに住み続けたいという気持ちはあるのだけれども、でも、やりたい仕事がないとか。大学に行きたいのだけれども大学はないとか。まちから一旦出ざるを得ないというように考えている人は結構多い。
でも、この環境は好きなんだよね。地元の愛着は高いし、仕事があればここにいるのだけれども、仕事は隣町とか隣市、札幌にしかやりたい仕事がないから、どうしてもそっちに行かざるを得ないという人が結構多いということはあるなと感じます。
農家の方とか、漁師の方とか、そこの場所でなければならない方は別だと思うのだけれども、どうしても三次産業がグッとなっている時代だから、そちらに行きたがる人は多いのかなという。

川尻雅裕

川尻雅裕

(川尻)
逆に、三次産業は、人と人との商売なので、単純にいえば、人がいなくなれば売る人がいなくなる。サービスを提供する人がいなくなる。そこは、キャッシュをうまなくなるので商売として成り立たない。たたみましょうと。
そうすると、市場規模は縮小していくという、そういう負のスパイラルになってくる。
そうすると、また、働き手がいなくなるので地元から人がどんどんいなくなるという負のスパイラルがうまれてくる。
そうすると、何が軸となるのかというと、地元にきちんとした産業なり、仕事があるかどうかはすごく大事だなということを思います。
それが、働き手にとってのニーズにきちんと応えられる職種なりがあるかどうかだと思うのです。
私が地方に行ったときに観光ホテルの方にヒアリングをしたときに、全国的な問題なのですけれども、就職。要は、働き手が足りないということなのです。今、調理人が足りないから探している。当然、地元の高校、商業高校に行って求人を出す。新卒の子をとりたい。でも、今は、料理といっても、今はやりのパティシエとか、ああいう華やかなものが好き。でも、旅館ではやれないから行かない。そういった雇用のミスマッチがあるということも事実。現実としてあるのかなと。
それが、言い方が悪いと、流行についていけないという現実もあるのかもしれないですが、それも人口減少の一つの要素。仕事、職がない。働きたいけれどもないというミスマッチがあるのかなと思います。

(岡本)司会
僕もあるまちでビジョンの委員会をやっているのです。地元の農家の人、旅館業の人は、人が足りないといっている。特に旅館業の人は、そもそもベットメイクとか、そういうことをやっている若い人たちは土地に執着しないから、もう少し良いところで働きたいと思ったら、すぐ抜けて次に移っていく。固定しない。
農業は農業で、疲れるとか、休みがない、そういうことでこない。ただ、人はほしいという状況がある中で、国としては、仕事をつくろうという動きが若干あるような気がしています。そこが、ミスマッチとおっしゃっていましたけれども、正しく見えていないのではないかという気がするのです。
その辺は、押野さん、どうお考えですか。

押野和也

押野和也

(押野)
ミスマッチも確かにあるかなと思ってはいます。あるセミナーに出たときに知ったのですが、海外の方が日本人よりも北海道を訪れる人が多いのです。要は、北海道で儲けようよ。当然収入は上がるし、人がたくさん来れば人手が足りなくなるということは明確だし、そこでお金がたくさん生まれ出されてくれば、いい雇用環境、仕事環境がうまれてくると思っています。
今は、こじんまりしているけれども、人が来て、潤ってくれば他に店を出そうかとか、こういうことをやれば商売が成り立つのではないかということでますます潤ってくることがあると思うのです。
話がずれてしまっているかもしれないのですけれども、人口減少だから売り上げがさみしくなって停滞して、仕事がなくなってということではなくて、漠然としている言い方で申し訳ないのだけれども、北海道を「売り」にした商売をしていただいて、お金をたくさん落としてもらうということです。

(生沼)
人口減少が進んでいるからこそ、そういう儲ける力のようなものをもっとつけなければいけないのだろうなと感じます。お金を払う人は減っているのだから、その人にきちんと払う相手、払う場所として選択されるように頑張らなければいけないと感じます。

(岡本)司会
人が来なくても払えたりしますよね。ふるさと納税ではないけれども。

(生沼)
ふるさと納税は、大分過大になっているような。

(川尻)
その人の払う目的が様々ですから、狙い通りになっていないということが実態かもしれないです。

(生沼)
ネットを使えば、ふるさと納税に限らず地物を買うことはあると思うのです。
行くことのメリットは、それによって出る波及効果があります。ネットは、『そこ対そこ』しかないから。行けば、そこの店だけではなく、コンビニや他の店に行くかもしれない。行くことによって波及効果があるので、行けば経済効果は高いと思います。
人口ビジョンの関係で高校生にアンケートを取ったんです。人口減少しているまちなのですけれども、その高校生の意識として、ここのまちに住み続けたいということはあるのです。けれども、進学先を聞いたときには、出たい、と。狭いところではなくて札幌とか東京、いろいろ外の世界を知りたい、と書いてありました。
それはそうだろうと思うし、高校生に、人口減少しているから住んでくれないかということは、(意味が)違うと思うのです。
そういう意味では、私もそうなのだけれども、札幌や東京に来ていろいろなチャンスを得たいということはあると思います。人の往来というか、交流、それは増えないとだめですよね。

(つづく)

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