一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2017年3月23日(木)

連載企画THE座談会2《第7回》混ざる、混ざり合うことが、はじめの一歩

前回:第6回 これからのまちづくりに必要なこと~キーワードは「ごちゃ混ぜ」

《7回目》混ざる、混ざり合うことが、はじめの一歩 ■■■■■


《大場》 
シェア金沢の場合は、それだけが孤立してあるのではなくて、地域とゴチャ混ぜになっているからいいんだよね。そうでないと、塀の社会ではないけれども、そういうことだと違うかなという気はするよね。

《岡本》 入ってきたときは、何の宗教団体なのというように見られていたらしくて、なじむのに一年半ぐらいかかったとおっしゃっていました。

とにかく町内会の集まりに顔を出したりとか、行って知ってもらって、よく理解してもらって、なるほどわかったよ、こういうことが手伝えるよねと言ってくださった町内会の方々には、施設内の温泉に無料で入れるようにしたりとか、生活の一部を手伝ってくださいということをギブアンドテイクでやっていたりするのです。

《大場》 地域みんなが関わる。よくネットワークだ、連携だというけれども、そういうことでしょう。

《岡本》 そうですね。最終的には楽しくないとやらないと思うのです。きっと義務だったらやれないと思うので、行って楽しいなと思えるかどうかが重要な気がします。

《大場》 僕が最初に話した岩見沢もそうだと思うのです。みんなおもしろいから、関わってみて、俺はそこに住んでいないけれども関わってみようかという、そういうことから始まる。繋がるものがあるのではないかという気がするよね。

《押野》 何かの見返りではないけれども、何か楽しそうだな、何かあるのかなという好奇心なのか興味なのか。大きな町だから、小さな町・田舎だからということに関係ない話なのかなという気もしますが。

北海道は圧倒的に小さな町が多いですね。人口が数万人、数千人といったまちばかりです。地域にはパワーが圧倒的にない。絶対的なマンパワーが足りないと感じるところもありますが。

《岡本》 少しゴチャ混ぜの片鱗が見えるのかなとプラス思考で思うのは、ゼネコンなどでは女性の現場進出に取り組まれています。あれは、結局、男しかいなかったところに新しい人、女性を入れることで新しい効果が表れてきている部分があるのかなと思いたいのです。

ただ、内閣府のほうで男女比率を何割にしろという話だから仕方なくやっていることなのか、それをプラスで考えて、せっかく入ってくるのだったらこんな良いことも生まれるよねという形でやっているのかによって、先程あったゴチャ混ぜというキーワードの活かし方や認識が変ってくるような気がするのです。

まちという単位の話ではないですけれども、その辺でどういう感じなのですかね。

《久新》 ゼネコンの女性の現場技術者というのは、スタートラインは、人が足りないというところからスタートしているのが現実だと思います。

今、圧倒的になり手がいないのです。基本的に人気がないというような職種の上位に位置していることが原因だと思います。休みがないだとか、なんだかんだとあって、長続きしないという人が多い。そういうところの中で、男性だけではないよねという流れで、女性でなりたいという人がいてくれるとなり手が増えるという期待があって取り組んでいる部分が大きいかなと思います。

実際に女性が入ってきて現場が動いていると、結果論的な話になるかもしれないですけれども結構なじむのです。なじむというのは、基本的に現場の職人さんは、圧倒的に男の人が多い。男の監督が言うとギシギシとなる部分が多いのです。これやってくれ、そんなことできないみたいな、ぶつかり合うところなのですけれども、それが、女性が言うことによってやんわりと受け止めてくれるようになって、全体的にまろやかに現場が進むという。潤滑剤という言い方をしたら怒られてしまうかもしれないですけれども、そのような現場が和やかになるという効果は実際にあります。

そうなってきて、現場の雰囲気がよくなることを通じて仕事の流れが良くなっているので、何かいいよねと感じるところがあります。

《岡本》 混ざるほうがいい。

《久新》 そう、混ざるほうがいいのでしょうね。
どちらかというと、人にいろいろ話したりするのは女性のほうが合う部分が多いということがあるかなと。男性だけでやっているほうが、そのうち違和感がある状況になるのかもしれません。

《大場》 みんなが関わるほうがいいんだよね。

《岡本》 本当にそう思いますね。計画する人と建築する人は混ざっているのですか。

《久新》 混ざっていますよ。業務分担は分かれているけれども、一緒に混ざるというのは、それぞれの立場の中で役割を持っていろいろ協議したり、コミュニケーションをとらないと良いものにはならないから、そういう意味では混ざったほうがうまくいきます。混ざらないと最終的におかしい結果になることが多いと思うのです。

それは、意思疎通をうまく、こうつくってほしいと絵を描く人に対して、その意思がちゃんと、設計する側の思いをつくる側が受け止められるかどうかは図面だけ見てもわからない部分ですから、それを伝えるのは普段のコミュニケーションの部分が多いですから。そういう意味では混ざるべきなのだと思うのです。

《押野》 人口がどんどん減少すればするほどそこのエリアの多様性が下がります。当然、高齢者ばかりでは成立しない。現役世代の人たちが集まったら、同じように高齢化していくわけだから。そうではない仕掛けをしていく必要があるのだろうと思うので、それぞれのお立場・経験から、ゴチャ混ぜというキーワードでもいいし、そこの住まい方、住む人の多様化でもいいのだけれども、そういうことで「人口減少時代にまちづくりをかんがえる」、という座談会のテーマに向けてお願いします。

 

次回につづく「北まちが担っていくべき役割」

 

第1回 まちなかの変化,人の変化
第2回 学生たち…受け身から働きかけに
第3回 現場を通して感じる人口減少
第4回 まちのコンパクト化とは?
第5回 暮らし方の選択肢は多様である方がよい
第6回 これからのまちづくりに必要なことキーワードは「ごちゃ混ぜ」
第7回 混ざる、混ざり合うことが、はじめの一歩
第8回 北まちが担っていくべき役割