一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2018年5月14日(月)

THE座談会 3《第3回》まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方

《第3回》まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方

《辻井》
交通が便利でも住むだけではしょうがない。ご飯を食べるところとかはどうですか。

《宮坂》
問題はそこです。確かに食べるところはあるんです。琴似というまちは、昔から飲み屋街で、そういうことで有名なので、夜のそういうところは元気で夜の宴会には困らないのが、お昼のランチが…。

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《辻井》
ランチが弱い。

《宮坂》
オフィスの方たちも皆さんおっしゃるのですけれども、どこか美味しいところはないですかと聞かれます。ここ!とお薦めできるところがなかなかなくて。
ラーメン屋さんと焼肉屋さんは、琴似は結構多いのですが、お昼ちょっとというとなかなかと皆さん感じているようです。

《辻井》
僕と市橋さんは、夜は地域に寝に帰るタイプですよね。

《市橋》
そうです。我が家の周辺は夜めちゃめちゃ静かですよ。本当に静かです。
昼間は学校がありますし、賑やかといえば賑やかです。夜は本当に静かです。

《辻井》
保坂さんの辺りは、微妙かなと思いますが。まちに近いし、札幌駅周辺で夜一杯やっても歩いて帰られる範囲かなと思うのですけれども。

《保坂》
うちは、本当に夜も札幌駅へ出ればすぐです。ただ、私に関しては創成川を渡ってしまうので、創成川を渡るとそれこそオフィスが今あまりないので、創成川の西側にはたくさんあるのですけれども、渡ってしまうと住宅が多いかなと思います。ランチに関しては、全くない。コンビニエンスストアさんも、夜は仕事帰りの人が入るのだけれども、昼間は売り上げが全然なくてということをよくおっしゃっていますね。
マンションが非常に多いので、本当に共働きの方が多くて、それこそサービス業という面では少ないかなと思います。本当に住居だけという印象が強いです。

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《辻井》
施設とか住宅だけができてもなかなか元気にならなくて、先程おっしゃったようにエリアとして必要な物が整っていくと、ずっと元気が世代交代しながら続くのかなと思ったところです。
ところで、マンションは、駐車台数をある程度確保するのが通常と思いますが、今進めていらっしゃる都心とか地下鉄沿線のマンションですと、交通が便利だといって、割りと居住者の高齢化が進んでいて、そのため今、駐車スペースは余りいらないというような動きも出ているということを耳にしますけれども、その辺は実感としてどうですか。

《市橋》
新築で売る時には、どこのデべロッパーさんも総戸数に対して必ず一台分確保する。そうじゃないと、なんとなくイメージが悪いじゃないですけれども確保して売りたいという思いがあるみたいです。基本、敷地がないところは機械駐ですとか、色々入れて、一家に一台は持てるスペースがあるということを前提とされているのです。
それが竣工して3年、5年後に管理会社さんにお話を聞くと、立地の良い場所はかなり駐車場は空いていると。最初は持たれていた方も、歳を重ねられて、この立地であれば別に車がなくてもいいね、公共の交通機関で十分だねと変化が起きているようです。

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《辻井》
歩いて暮らしちゃうという感じ。

《市橋》
どこかへ行くにもJRですとか地下鉄があるしという考えで、車を手離しても別にいいねということで手離される方が結構増えていると。逆にマンションの組合さんとしては、空いた分のロードヒーティングの駐車料金も管理費になっている。

《辻井》
負担のコストパフォーマンスが悪くなるということですか。

《市橋》
その分、予定した収支が合わなくなるというもので、その空いているスペースをこれからどう活用していくかということを結構考えられていますね。

《宮坂》
確かにマンションは居住者の移動で空きがでますね。うちの方は、オフィスを入れたのでオフィスの方が借りてくれて。

《辻井》
それは安定的にということですね。

《宮坂》
安定的かどうかはわからないですけれども、とりあえずオフィスとか、他の用途で埋めて、今のところは満室、空いているところはないですね。

《辻井》
良いやり方ですね。
保坂さん、大きく頷かれていましたけれども、今やっていらっしゃるお仕事とか、その辺の中でも実感としてそうですか。

《保坂》
仕事というよりもやはりいろんなマンションを見ていまして、今、うちの住んでいるマンションも竣工してからずっと9年くらい収支があっていないです。
また、最近のところだと駐車場を少し減らしているところも見受けられるのかな、何軒かそういった新しい新築マンションもあったり。
賃貸マンションを検討されている方も多くいらっしゃるので、車をなかなか持たない世代に私が入っているということもあるのですが、30代・20代前半だと車を持つ余力がない方が非常に多くて、どんどん小さなエリアで過ごしていくというのがトレンドになっている。本当にそれが主流になっているのかなといったところを駐車場問題とかでよく感じますね。

《辻井》
昔は、一世帯に2台とか、そういうところもあったけれども、特にまち中で住まうというスタイルが今は結構増えてきているとおっしゃった通り、暮らしぶりが変わるので車の扱いもかわる。場合によっては、車は諦めて、いざという時にはカーシェアとかレンタカーで済ませるという。

《宮坂》
うちのところもレンタカーに入っていますし、カーシェアにも入っています。両方入っています。
マンションに入る方は車を破棄してマンションに入られるという方が結構、特にうちのところはJRつづきですし、地下鉄までもそれほど距離はない。冬場はアレでしょうけれども。

《辻井》
まちをリノベーション、手直ししていくためには暮らし方を支える仕組みが駐車場やなにかに如実に表れてきているのだなという気がしました。
保坂さんは車を持つまで余力がないという表現をされましたが、車を保有する優先順位が変わっている。それとも余力がない、どちらの傾向が強いと感じますか。

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《第3回》 ここまで

次回につづく「《第4回》 モノやコト、居住空間をシェアするということ」

【THE座談会3】
第7回まで順次アップしていきますので、引き続きご覧ください。
《第1回》 座談会メンバー、それぞれのまちの今
《第2回》 ライフスタイルの変化と交通の利便性の関係
《第3回》 まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方
《第4回》 モノやコト、居住空間をシェアするということ
《第5回》 地域コミュニティとコミュニケーションの昔と今
《第6回》 エリアごとの個性をいかすエリアリノベーション
《第7回》 計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく