一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2018年5月23日(水)

THE座談会 3《第4回》モノやコト、居住空間をシェアするということ

 

《第4回》モノやコト、居住空間をシェアするということ

《保坂》
車を保有する優先順位の変化、余力がない。どちらも同時にあると思います。車以外の遊びがたくさんある世代になってきているので、昔のような、どうしても働いたら車を買うという傾向も非常に少なくなっていますし、親と一緒に住んでいる世代も非常に多くて、親の車を借りるだとか、シェアというのが当たり前になっている世代かなと思います。なかなか車を現実的に持てないというところも同時にあります。

《辻井》
選択肢も増えてきているのだろうと思いますね。
そして、シェアするというワードは鍵になるような気がします。
シェアという考え方に違和感がなくなってきたような気がしますね。昔は、占有が常識みたいなイメージがありますけれども、特に集まって住むことというのはシェアする価値が高いように思います。どうですか琴似なんかでは。

《宮坂》
私はシェアということにはあまり抵抗ないのですけれども、私たちより上の世代の人たちは、やはりシェアということは馴染みないですね。自分の物じゃないと自由に使えないとか、ちょっと考え方は世代によって違いはあるのかなという気はします。
ご高齢近くの方で運転が嫌なので、それこそ宮の森の山の上のマンションにいたけれども琴似に来ましたという方は、結局、子供たちに車があるのでそれに頼りますみたいな感じでしたね。ああ、そうなのかと思って聞いていましたけれども。

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《辻井》
今、過渡期なのかもしれませんね。
割りとどちらも選べるという、シェアの部分がメニューも増えてくれば色々取捨選択もできるようになってくるのでしょうね。

《森オブザーバー》
宮坂さんと保坂さんがおっしゃったことはとても重要で、団塊の世代が現役引退をしていく時期にあたり、今後、社会の中心世代のライフスタイルが大きく変わると思います。
それと、何かをシェアしていく、空間でも所有物でも時間でも。そういうことが自然に受け入れられる世代がどんどん中心になっていくのでしょう。その時に、エリアをリノベーションしていく、更新していくという事柄が、団塊の世代が退場した時に相当変革していくはずです。それに合わせてまちづくりを考えていく必要もあるのだろうと思います。
多分、まちの広域連携もシェアしてくという仕組みのひとつではないでしょうか。特にこれからの介護問題・医療問題などの課題に地域が連携して取り組まなければ追いつかないと、連携という言葉を使っていますが、連携は、シェアしていく、お互いに活用していくということの形のひとつではないでしょうか。

《宮坂》
今の介護の話なのですけれども、私たちくらいの世代は、子供は当てにできないよと皆言うんです。子供に見てもらうなんて無理よ。それなりのところを選んで行くしかないよね、という会話がほとんどなのです。
ただ、私は一番下なので、私のいとこは70代・80代の人がいるのですけれども、えっ、そんなところに入れられるのと驚きの面もあるという状況です。
うちの一番上の姉がシルバーの施設に入っているのですが、いとこから言うと、えっ、入れられちゃったのという感覚なのです。姉も入った時は、いいのよ、何もしなくてもいいし、みんなスタッフがしてくれるし、いいのよと始めは言っていたのですが、この頃電話がかかってきて、どこにも行けない、どこにも行けなくなったってぼやいていました。出歩くのが好きな姉だったので。
世代で覚悟も違うし、80代の人たちは親を見てきた世代なので、私たちは辛うじて見てたけれども、その中で大変なんだという経験から、私たちの子供たちにさせられないよねという考え方も多いのですけれども、昔の人たちはそれで当たり前で育ってきているので、その辺の年代の価値観は全然違うのかなと思います。同じように話していたら、多分無理なのだろうなということをすごく感じますね。

《辻井
逆にシェアの形も色々発展していくかもしれませんね。

《宮坂
逆に若い方たちはどう思っているのか。まだそういう年齢ではないのかもしれないですけれども。 

《辻井
でも、昔は住宅すごろくがあって、若い頃は賃貸のアパートで過ごして、やがては一戸建てというところですごろくあがりというような形が、いろいろありましたよね。
現在まち中の戸建て住宅の多くは再開発で大型集合住宅になり、その先があってサービス付きの高齢者集合住宅に入ったり、あるいはグループで住まう、あがり方もずいぶん変わってきて、住宅の姿形の選択肢が増えてきたように思えます。選択肢が増えると、多分、価値観が分かれていって、というような気もちょっとしています。
うちの母は、今、戸建てに1人で住んで、頑張ると言っていますけれども。

《宮坂》
うちの母は、93歳くらいまで1人で住んでいました。

《辻井》
庭いじりが好きなのでそれもあるのですね。

《市橋》
女性は強いですね。

《辻井》
我々どうしましょう。

《宮坂》
昭和ひと桁までは強いですよ。違いますよ、あの方々は。

 

《第4回》ここまで

次回につづく「《第5回》地域コミュニティとコミュニケーションの昔と今」

【THE座談会3】
第7回まで順次アップしていきますので、引き続きご覧ください。
《第1回》 座談会メンバー、それぞれのまちの今
《第2回》 ライフスタイルの変化と交通の利便性の関係
《第3回》 まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方
《第4回》 モノやコト、居住空間をシェアするということ
《第5回》 地域コミュニティとコミュニケーションの昔と今
《第6回》 エリアごとの個性をいかすエリアリノベーション
《第7回》 計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく