一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2018年6月7日(木)

THE座談会 3《第5回》コミュニティとコミュニケーションの昔と今

《第5回》コミュニティとコミュニケーションの昔と今

《辻井》私の実家は戸建て住宅地だったのですけれども、私が小さい頃は、まだ下水がしっかりしていなくて、町内会でドブさらいというのをやったのです。

《宮坂》わかります。

《辻井》皆で集まってドブさらいをやったり、輪番というのがあって、電球の交換なんかも町内会でやってました。僕は、まだギリギリそれを知っている世代です。親が出掛けて行って、地域で共同でやったような。

《宮坂》いろんなことをしましたね。

《辻井》今は、道路管理者にお任せみたいな感じで。確かに便利になってまちの姿も変わってきて多分今おっしゃったようにコミュニケーションの方法も随分変わってきたように思います。ちょっと寂しいなと思われるのはそういうところかもしれません。

《辻井》つい最近は琴似で、理事の川瀬さんも一緒にイルミネーションを毎年やっておられ、色々音楽のイベントも仕掛けられている、という話を聞きました。まち中で住宅やサービスもそうですけれども、そのような活動も魅力のひとつになっているのかなと思います。

《宮坂》イルミネーションなんかは、本当はお子にいっぱい集まっていただきたいのです。この間12月1日にイルミネーションの点灯式をしたのですけれども、老人が多いのです。圧倒的に老人の方。

《市橋》子供たちというのは。

《辻井》いないわけじゃないですよね。

《宮坂》保育園とかにもお知らせしているのです。でも、やはり時間的なこともあって、若い方たちは忙しい時間、夕方5時・6時なのでお忙しい時間なのかもしれないですけれども。

地域との関わりはこれから(宮坂さん)

《辻井》保坂さんは、そういうイベントがあれば行きたい方ですか。むしろ、今あまりないのがご不満のような気もしますが。

《保坂》確かに夕方の5時・6時は忙しい時間なので、多分お子さんを連れてこられない方も多いかなと思うのです。結構土日でもバザーがあったり、あれば私は行っている方なのですけれども、少ないかなとは思いますね。

もう少し自分の身近な場所で自分たちが普段顔を合わせる方たちが、多分それを町内会と言うのだと思うのですけれども、主催しているイベントがもっともっと身近にあったらいいなと思いますね。

もう少しエリアで、介護問題とかもそうですけれども、小さなエリアで手助けしてくれたり、まちづくりをしてくれたりする人を、もう少し近距離で感じられるような付き合いがあればいいなと思っています。

《辻井》市橋さんは、今お住まいのところで地域との関わりというの、意外とないですか。小学校のコミュニティはあるのでしょうけれども。

《市橋》自分の親世代の皆さんですけれども、僕ら世代とちょっと世代が違うということもあるかもしれませんけれども、見ていると、僕以外の方と近所付き合いをされているかというと、そうでもないですよね。あまり年代は関係ないのかなという。何となく時代なのかなという。

《辻井》若干希薄にはなってきているのかもしれないですね、全体的に。

《市橋》なっていると思いますね。ただ、子供はガチャガチャたくさんいるので、それで声をかけてもらうということはありますけれども。

《辻井》うちの住んでいるマンションは、集会室を開放して、町内会と一緒にコミュニティサロンをやっています。もちろん集まるのはお年寄りの方なのですけれども、ある意味地縁コミュニティを、マンションの中に住んでいる方だけではなくて周りの戸建て住宅の方とかも集まれるようにちょっとやり始めているのです。僕はまだ出ていないのですけれども、老後の楽しみにしています。《笑》

《市橋》取っておいてあるのですね。

《宮坂》子供が集まったのは、点灯式の次の日にバルーンフェスティバルというのをしたのです。うちも協賛したのですけれども、そこを見てきたら子供さんがたくさん来ていて、それは昼間で、そこで音楽をしたり、色々な催し物をして、そういうことをすると子供さんは集まるのかな。

《市橋》僕らも地域のイベント事はないのですね。嫁の親が北広島に住んでいるのですけれども、町内で餅つきがあるのです。子供は行きたがります。そういう経験がないですから。

《辻井》普通の盆踊りとか、そういうのではなくて。

《市橋》餅つき、多分、地域でやったことがないので、餅つきは婆ちゃんのところでやるものだみたいな子供の認識なのです。確かに、周りでも餅つきをやったような話は聞いたことがないですね。

子供たちが行きたがるのは例えば…(市橋さん)

《辻井》なるほどね。札幌の都心にまちづくり会社が2つあって、赤レンガプラザやなにかで、まち中のあの辺もお祭りがない、お祭りをやろうよといって色々な企業の方が集まって、企業も市民だと思います、イベントをやり始めています。これらは、まちを使い倒すやり方の一つになってきているのかなとその時感じました。

保坂さんは、フリーマーケットとか、そういうようなものも、まち中では神社さんとか公園を使ってやり始めていますけれども、そういうものが身近にあると楽しいですか。

《保坂》そうですね。

《辻井》買う側ですか、出す側ですか。

《保坂》完璧に買う側ですね。将来退職したら、自分がまちづくりの支える方になれるといいなと今は思っているのです。

先程おっしゃったように餅つきなんかがマンション内でもあったらいいなと思っていまして、なかなかマンション内でそういうことをやり始めるのは、マンションに住んでいる方が高齢になってからやり始めるのかなと勝手に思っています。

最初、新築に住んだ時は、ある程度忙しい若い世代が入ってしまうので、60代・70代になって退職した方がそういうようなマンション内のイベントを実際にやっているようなマンションがあって、そういう意味では建物は老朽化していって価値は下がっていくのだけれども、住まわれている方の年齢が上に行くにしたがってそういうコミュニティのサービス面が整っていくことも可能なのかなとは思うのです。

ただ、自分が住んでいる地域に関していうと、年齢は結構上にいかれている方も多いのですが、一緒にやろうよという意識が波及しないでいるのかなとは思うのです。そういったきっかけづくりみたいなものがどこかであれば。たとえば、市役所とか町内会の何かしらのもの、企業さんが近くに来てくれて企業さんが主体になったり学校が主体になったり、ちょっとしたリーダー的存在とインセンティブみたいなものがあればまだまだ新陳代謝は活発になっていくのではないかというふうに日々感じています。

《辻井》琴似では、そういう情報提供とか集まる場所というのはどうですか。

《宮坂》集まる場所。私は、あまりそういうのに参加していないので申し訳ありません。色々忙しくて。

ただ、今おっしゃったように餅つきとかはおもしろいなと思ったのです。老人と子供たちが接する場所があると良いのかな。たとえば、うちの近くの病院で老人の施設をつくったのです。その施設の下に病院が経営する保育園を入れているのです。そうすると、保育園のところに老人の方が遊びに来て子供たちと接する機会を設けている病院がありまして、それはなかなかおもしろいなと思いました。

《辻井》合わせ方ですね。きっかけが生まれるように組み合わせるという。

《宮坂》老人の施設には子供はいないのですけれども、保育園があることによって自分と同じ屋根の下に子供たちがいるという環境だと老人たちもいいです。子供たちもお年寄りと接することが少ないので、どうやって接したらいいのかわからない子供が結構多かったりして。私はそういうことを推進してくことはいいなと思っているのです。それこそ餅つきでも、若い方たちはどうやって餅つきをしたらいいのかわからないでしょうし。

《市橋》そうです。

《宮坂》どうお米を蒸かすとか、それをどうするのかわからない。やはり知っている人がいて、その人たちが先導、それこそお年寄りも生き甲斐を感じると思うのです。

《辻井》懐かしいと言ってね。

地域のコミュニケーションを生み出すきっかけは?

《宮坂》自分は知っている、教えるという、元気な方は自分の知っていることを教えてあげるとか、自分が役に立っているということが、老人になっても生き甲斐につながるのだと思う。ただ楽をさせていればいいということではないと思うのです。

うちの母には孫がいまして、男の子3人なのです。男の子3人だとすごいんです、うるさくて。家中を駆けずり回るし、寝ているところに行って「婆ちゃん」と騒いで。帰る時に、皆が挨拶に来て、「これで静かになるからね、良かったね」と言ったら、「そんなことないよ」と母が言ったのです。うるさくても、孫がいることが嬉しかったのだと思います。もう100歳を過ぎていた時ですけれども。

《辻井》元気を貰うのかな。

《宮坂》そうですね。ニコニコっとなります。喧嘩しているのを見ていてもニコニコになります。そういう接する場所をコミュニケーションの場としてつくっていくこともこれからどんどん必要になってくるのかなと思います。

 

【THE座談会3】

次回につづく「《第6回》 エリアごとの個性をいかすエリアリノベーション」

《第1回》 座談会メンバー、それぞれのまちの今
《第2回》 ライフスタイルの変化と交通の利便性の関係
《第3回》 まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方
《第4回》 モノやコト、居住空間をシェアするということ
《第5回》 地域コミュニティとコミュニケーションの昔と今
《第6回》 エリアごとの個性をいかすエリアリノベーション
《第7回》 計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく