一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2020年6月30日(火)

THE 座談会 in 東川町(5)〜東川町というまちのブランドについて〜


● 東川町というまちのブランド〜立地の良さと文化づくりの相乗効果 —————————————————

(森) 轡田さん、東川町に来て、今お客様も週末になると結構な人数がいらっしゃる。そういう形になってきてご自身はどうですか。きっかけは夫のロマンだったけれども、自分の決断は、今の自分はどう感じていますか。

(轡田) 主人主体だったところが自分主体に変わりつつあって、今だと本当にお客様に喜んでいただけるサービスはどういうことだろうというのを日々考えながらやらせてもらっています。
最初は、本当に玄関先での営業がスタートだったので、それが中で飲めるように自宅を開放するという決断になり、次はテレビ、それこそメディアのほうで放送された時には、あまりにもすごい光景が全国ネットで放送されてしまったという色々な葛藤があって庭をいじり。1年ごとに変化をさせるというのを、自然と計画的ではなかったのですけれども、自然とお客様の求める言葉に応えられるように資金力がついていって、それでやらせてもらったら。もう一つ納屋をつくったらそこに洋服屋が入ったりとか。今年は旭川のほうに店舗を構えるというような流れになったのですけれども、やはり簡単ではなかったのですが思った以上に早いスピードで変化が見られる場所だと思います。本当に東川町でなかったらこのような変化は経験できなかったのではないかなと今も思い返します。

(森) 今、そうやって自然の流れの中で業態が広がってきて、先程従業員の方が10名から12名の方々で回していらっしゃるということですが、紗世さんの中でビジネスとしてどういうところで像を結びたいとか、何かイメージはあるのですか。

(轡田) 今は、本当に色々な行政の自主的なブラックのおかげもありまして、働くという意味での本当のあり方というのは、自分自身のスタイルを保ちながら、また、人と交わる時間も有効的にという感覚の仕事のスタイルがこれからのあり方なのかな、というのを少しずつ感じてもいます。
私たちも東京のほうには毎月のように出張に行かせていただいていますし、先々週も札幌のほうで大きなイベントもありまして、そういう部分で本当にほどよい田舎というのを実感しています。私たちは本当に買い物に行くときは東京や札幌だったりとか、都心部からはやりの物や情報を得ています。それこそタピオカも飲んできました。情報に対して良い距離感を感じながらいるというところです。
でも、新しい情報が入ってくることによって、働くスタイルの新しいシステムが東川だからこそ実践できるのかな、と今の従業員との関わりの中で感じ始めているところもあります。

(森) 旭川の店までは、通勤は車で20~30分ですか。決して遠い距離ではないですね。

(轡田) 今は、本当に色々な行政の自主的なブラックのおかげもありまして、働くという意味での本当のあり方というのは、自分自身のスタイルを保ちながら、また、人と交わる時間も有効的にという感覚の仕事のスタイルがこれからのあり方なのかな、というのを少しずつ感じてもいます。

(森) 旭川の店までは、通勤は車で20~30分ですか。決して遠い距離ではないですね。

(轡田) 今は、本当に色々な行政の自主的なブラックのおかげもありまして、働くという意味での本当のあり方というのは、自分自身のスタイルを保ちながら、また、人と交わる時間も有効的にという感覚の仕事のスタイルがこれからのあり方なのかな、というのを少しずつ感じてもいます。

(森) 旭川の店までは、通勤は車で20~30分ですか。決して遠い距離ではないですね。

(轡田) 今は、本当に色々な行政の自主的なブラックのおかげもありまして、働くという意味での本当のあり方というのは、自分自身のスタイルを保ちながら、また、人と交わる時間も有効的にという感覚の仕事のスタイルがこれからのあり方なのかな、というのを少しずつ感じてもいます。

(森) 旭川の店までは、通勤は車で20~30分ですか。決して遠い距離ではないですね。

(轡田) 全くないですね。苦痛ではないですね。

(森) あとは、どうでしょうかね、私も仕事で東京に行ったりするときに、ついでに寄ると、わざわざ札幌から来てくれたという感じで応対してくれますね。「今日、時間にゆとりができたのですが、寄っていいですか」と電話をすると「いいですよ、わざわざ来てくれて」「是非、お顔が見たいわ」とか。そういった歓迎の仕方って東川町だったらもっとあったりしますか。

(轡田) はい。私は、ゲストの方もよく、コーヒー関係者になりますけれども、いらっしゃる時には必ずと言っていいほど町内の飲食を使わせていただくのですけれども、「この上ない幸せだった」という言葉が返ってくるぐらいクオリティーがなぜこの田舎にあるのという反応がどなたにも。お世辞ではないなと思うような反応がすごくあります。
やはりゲストの方が、たぶん都心だったら金額も時間も場所もたくさん選択肢があるのだけれども、このクオリティーを出すとなると倍の値段だよというような表現をされたりとか、本当にそれだけ満足の得られるエスコートができる場所なんだというところがありますね。

(森) 旭川の店までは、通勤は車で20~30分ですか。決して遠い距離ではないですね。

(轡田) 今は、本当に色々な行政の自主的なブラックのおかげもありまして、働くという意味での本当のあり方というのは、自分自身のスタイルを保ちながら、また、人と交わる時間も有効的にという感覚の仕事のスタイルがこれからのあり方なのかな、というのを少しずつ感じてもいます。

(森) では、今のご自身はちょっとカッコイイ感じ。

(轡田) カッコイイ?そんなことを思ったことは一度もございませんが。
ただ、こんなに自分の人生観というか、人とコミュニティーができて、孤独ではなく自分のやりたいと思うイメージが具現化されていくということは、とても幸せなことだなと思います。

(森) ひょっとして旭川にずっと住んでいたら普通にお母さんで、ママ友の世界だけで生きていたかもしれない?

(轡田) そうかもしれません。私も本当にコミュニケーションマネージャーというちょっとカッコつけた名前をつけていますけれども、これは主人の命名ですが。企画という部分だったり、ちょっとした広報的なところが役割なのですけれども。人と交わる時には自分の言葉に変換していかないと進まないというように私は思っているので。

(森) 自分の言葉とは?

(轡田) 自分自身の持っている感情の言葉を出さないと変化されていかないと思うのです。特にこの東川町8,000人というそれが一つのフレーズになっていますけれども、良い意味で小規模っぽく見えるけれども、実はマーケット面からいうと、全国マーケットという感覚があるので、それぐらいの商材がたくさんこの東川町には眠っていて、そういうことを自分の言葉で、ましてや私みたいなこんなしがない焙煎屋がこんな大舞台でお話しさせていただけるという、主張できる場なんてそうそうないと思うので、やはりそういう部分ではこの町に越してこなければ実現されなかった私の主張が本当にありがたい形で表現させていただいているというところにより責任感を一つ一つの言葉に感じています。

(森) 札幌市の197万分の1より8000分の1の存在というのは、倍率からいうと大きいですね。

(轡田) 大きいですからね、確かに。

(森) 自己主張をしたい人は東川町に。(笑)

(轡田) それいいかもしれないです。本当に眠っている。

(森) 自分の才能を芽吹かせるには東川町に?

(轡田) それだけジャッジは厳しいと思いますけれども、おかげさまで受け入れてくれる人がいたというところは良かったのではないでしょうか。

(森) どうですか佐々木さん、東川町では轡田さんもそうですが、先程の菊地さんのお話でも起業される方のサポートを結構やっていて、その方々が根づいている。アンケートを実施してどのように分析されているのですか。

(佐々木) その要因ということで。移住して起業している人に限らず移住者もそうなのですけれども、先程から話題に上がっている「立地」のお話と「役場のサポート」というところに加えて、やはり東川町の特徴なのかなと。

(森) 佐々木さんの研究分析では。

(佐々木) 立地的なお話と役場の支援の他に、東川町の特徴なのかなというところが見えてきて、それが一瞬話題に上がったのですけれども、「文化をつくってきた」というところがどうも移住者であったり移住起業家の人が非常に高く評価している。それが一つのきっかけになっているというところはあります。

(森) 選択した自分がカッコイイ、COOLといいますか、例えば東川町という町を選ぶか、近隣の町を選ぶかというときに、東川町を選んだ自分はより文化的だとか、そういう自分に肯定的な要素を並べられる数が多いのかしらね、東川町は。

(佐々木) その一つに、例えば「君の椅子」というのがあると思うのです。「君の椅子」というのは、お子さんが生まれたときにプレゼントする企画です。椅子をもらうか、別の町だったらお金だったりおむつだったりをプレゼントするとか、ある種現物的なお金、金銭的なものか、椅子という今後の人生でも使っていくような価値を与えているのは東川町で、そこでまずある種スクリーニングといいますか網目がかかって、その椅子をほしいと思った子育て世帯であれば入ってきているのかなと。お金ではなくて文化というところが。

(森) あれは東川町で生まれるともらえるのですか。

(菊地) 東川町で生まれたお子さんに対して「君の居場所はここにあるよ」という意味を込めてプレゼントするという事業なのですね。

東川町複合交流施設せんとぴゅあ館内に歴代「君の椅子」が展示されている

(森) 毎年デザインは違うのかな。

(菊地) 毎年デザイナーも変って、製作者も変わります。

(佐々木) 結構おしゃれです。

(森) 初めて見た時、クッションもなくて何か痛そうと感じたけれどもデザイン意図が違うんですよね。

(轡田) 有効的に今でも使わせていただいています。

(佐々木) その文化に加えて町民のサポートというのがあって、先程菊地さんも言っていましたけれども、いわゆる旧住民といわれた人が代替わりして半数がある種移住者が出てきている町で、移住者に対して非常にサポートしてくれるというスタンスが大きいのかなと思います。
そこに加えて、轡田さんもおっしゃっていましたけれども積極的に東川町のことをお勧めしているという、それがどうも結構大きく効いているのです。

(森) 轡田さん、強くお薦めする程にうれしいことがあったのですか。

(轡田) こんなメディアもそうです。私も5年足らずですけれども。

(森) 順風満帆という感じですね。

(轡田) 会う方、会う方が、とても普通の一企業では実現できないでしょうというような方々と会って。

(森) ところで菊地さん、轡田さん以外にもお店はありますよね。

(菊地) 毎年デザイナーも変って、製作者も変わります。

(轡田) こんなメディアもそうです。私も5年足らずですけれども。

(森) ところで菊地さん、轡田さん以外にもお店はありますよね。

(菊地) たくさんありますよ。

(森) みんな同じように延べ単で広告宣伝して回っていらっしゃるのですか。

(菊地) やはり紹介しやすい店になるかな、紹介しにくい店というのは無いですが。

(森) 説明がしやすいとかということですか。

(菊地) 物語。語りやすい店というのはどうしてもメディアにも紹介しやすくなりますよね。それは轡田さんの店だけではなくて、その他にも多くあります。今回は轡田さんでしたが。
行政としては、ある程度は公平に紹介するということをやっています。

(轡田) 必ずメディアの方も先に見に来られて、他も見て、そこで自分たちの目で選ばれたお店という感じで選んでいただいているので。ただ、うちの場合は、たぶんこの景観要素が好印象でお選びになる方も中にはいらっしゃったというところです。

(森) そうでしょうね。私もイメージはしてきたのですけれども、ここまで田んぼのど真ん中とは。メインストリートからちょこっと入ると聞いてきたんですが、たくさん入るじゃない。

(菊地) たくさんありますよ。

(轡田) ちょこっとですよ。

(菊地) ちょこっとですよね。

(森) マップを見ながら、私的には、ちょこっとと言うからには、メインストリートから覗けばチラッと見えるんじゃないかと思ったら全く見えないし。

(轡田) 私も初めはそんな感じでした。

(佐々木) 私の調査分析でも、結構こうやって起業されているお店が色々と東川暮らしをお勧めしていて、お店なので移住したい人も来やすいのだと思うのです。
轡田さんのところもそうだと思うのですけれども、他のところでも相談に来る人が結構いらっしゃって、そこで東川をお勧めしている。そういうのがきっかけで移住している人もいるようだというところが見えてきたのです。それを研究の中では、“移住者の呼び込み力”という言葉をつくって、こういった呼び込み力を持った人が町内にたくさんいる。それが移住者増につながっているのではないのかという仮説を持って色々研究を進めているところであります。
まだ東川町でしかこの研究はできていないので、他の町でやってどれだけ東川町さんが“呼び込み力”が高いのかというのを今後やっていきたいとは思うのですけれども。
仮説としては、東川町は非常に呼び込み力は高い、強いのかなと思っています。それはそうやって轡田さんが東川町にほれ込んで色々お勧めしているというお話を聞いても見えてくるのかなと思います。

(森) なるほど、菊地さんに伺いたいのですが、いわゆるここは農地ですね。農地の真ん中、元々納屋、人が住んでいたとはいえそこで商業施設は住居兼だからありだったのですか。その辺というのは、東川町では縛りはなしですか。

(菊地) 東川町だからないというよりも国の制度で農地法や農振法だったりするわけですけれども、元々ここは東川町内の田舎といいますか、田んぼの真ん中にあるような宅地というのは、元々農家の方が農業をするためにいた場所です。農業を営むということで普通の住宅地とは違って納屋も建てなければならない、他のこともあるから結構広めの用地が宅地として存在をしていたわけです。そこは宅地であれば農業以外の方が入って、いわゆる何をやっても特には制限はないです。
ただ、うちの町は景観条令を早くから設置しているのですけれども、東川らしい景観を守るためにある程度のお願い事は条令の中で決めていたり、それによって建物の形だとか色だとか、そういうお願い事もしている。例えば、自然環境を阻害するような行為については当然やめてくださいというお願いもします。普通にお店をするのであれば規制は特にはないです。

田園景観にマッチする風情の轡田さんのお店

(森) ここはたまたま農家さんの宅地スペースだったからこのような商売といいますか商業利用ができたという訳ですか。

(菊地) どの場所もそういうことではなくて、ここはたまたまそういう土地だったということです。


次回6回目は “子育てサポートもブランド力~子どもたちが誇りを持てるまちに” というテーマでお話いただきます。


《THE座談会in東川町の掲載記事は下記からご覧いただけます》
(1)ゲスト紹介
(2)なぜ、東川町へ向かったのか
(3)東川町の暮らしづくり
(4)写真という文化によるまちおこし
(5)東川町というまちのブランドについて
(6)子育てサポートもブランド力
(7)東川町民のサポートマインド力
(8)まちのジャストサイズ〜現状維持が目標
(最終回)東川スタイルはコミュニティから生まれる