一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2025年1月30日(木)

THE座談会 in 八剣山 「地域づくり」そして「食と観光」 vol.3


●北海道のワイナリーとワインを楽しむ文化づくり

岡本  ワイン造りの流れよくわかりました。
今のお話を聞いて道内あちこちで仕事をされて地元の美味しい物をいただくという話しをされていた濱本さんは、どういう感想を持ちましたか。

濱本  地域に行くと日本酒が多いようなイメージがあって、ワインは、僕が想像するのは、北海道内だと余市とかでした。僕は、札幌の都心に住んでいるのですけれども、車で40分くらいの場所でワインをつくっている!みたいな衝撃が一つあったこと。それを、はずさない酵母があったという話しもびっくりしましたし、逆に、そっちがメジャーだというのがびっくりした部分があって。
地域に行ったら地域の物を食べたい、飲みたいという方はいっぱいいると思うのです。僕もそうなので、あることそのものがすごく大事。そういうものがあるということがすごい大事なのだろうなと思いました。

岡本  確かに日本酒のほうが聞くような気がしますね。特にまちづくりコンサルをやっていると日本酒の方が聞くような気がしますね。一方、空知とかを見ると結構ワイナリーがたくさんあって、ワインのツアーとかやっていますよね。
亀和田さんに引き続きお伺いしたいのですけれども。今、どんな取り組みをワイナリーを通じてというか、ワインを通じてというか、色々な触手を伸ばせると思うのですけれども、今特に力を入れている取り組みがあれば教えてもらいたいと思います。

亀和田  今、ワイナリーは北海道に54カ所あるのです。うちは17番目で早いほうになってしまいました。なんとなくワイナリー作りが先行しているような気がします。元々ワインは食事の一部だから、なにと一緒にワインを飲むか、誰と一緒に飲むか、そういうソフトの部分がなにか抜けているのではないかなということが、私自信の反省でもあるし、いまの流れがそういうことになっているのではと心配しています。

岡本  生産の方が上回っていってしまう感じがあるのですか。

亀和田  私どももふくめて新規のワイナリーさんが色々なワインをつくっていますよね。でもファン的なお客さんにワインが流れていて、日ごろの日常的な飲食につかっていただけるような本当の消費量は増えていないような気がします。

岡本  北海道ワインをポピュラーに楽しむ文化づくりがまだ遅れている、という感じがあるのでしょうか。

亀和田  先程おっしゃった食べ物、地域の食べ物みたいな話とワインとセットになっていて、しかもそれが楽しめる場所がたくさんあるという、その出口ですよね、ワインづくりの入り口には皆入ってくる。その先の消費というところで、ワイン文化というところまで熟成するには時間がかかるような気がします。

岡本  課題が見えてきているのですね。すぐそこに定山渓という温泉地があるじゃないですか。色々ワインに触れ合う機会をつくろうと思えばつくれるような気もするのですけれども。そういう声掛けみたいなのが来たりとか、観光客の皆さんを相手にという切り口は、今は特にない感じなのですか。

亀和田  ワイナリーガイドツアーというものをやっています。定山渓のお客さんにここに来てもらって、それこそ1日1組か2組くらいですが。木曜日と金曜日、ここを私自身が案内してブドウやワインの紹介をしています。今の時期だとちょうどそこで搾っていますから搾りたてを飲んでもらって、そこで食事してもらって。一人7,000円いただいているのです、税抜きで。シンガポールとか香港とか、結構いらっしゃいます。
円安ですから、7,000円って値段は僕らはびっくりするけれども、彼らにとってはどうでもいいくらいで。その場所にいる時間と出来事を楽しむという、そういうふうに旅行のニーズが変化してきているような気がします。

vol.4に続く

THE座談会in 八剣山「地域づくり」そして「食と観光」 vol.1
THE座談会in 八剣山「地域づくり」そして「食と観光」 vol.2
THE座談会in 八剣山「地域づくり」そして「食と観光」 vol.3
THE座談会in 八剣山「地域づくり」そして「食と観光」 vol.4