一般社団法人 北海道まちづくり協議会

特集記事 THE座談会

2018年6月26日(火)

THE座談会 3《第7回》計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく

まちがもっと素晴らしい感じになるのだろうなといったことがあったら…

《第7回》 計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく

《辻井》
そろそろ予定の時間になりますので、それぞれのお立場で暮らし方、住まい方、エネルギーのこととかを提案するお立場のお仕事をしていらっしゃるので、これから求められるまちのあり方、暮らし方。あるいは、今のニーズに対して、こういった暮らし方を提案していけたら、まちがもっと素晴らしい感じになるのだろうなということがあったら、保坂さんから順番に、お願いします。宮坂さんのおっしゃる「モヤモヤしていると」いうところを受けて、モヤモヤのスッキリに向けて。

《保坂》
私、建設会社の人間としてということとは別に個人的な思いなのですけれども。もう少しエリアごとに個性があってもいいのではないかと思うのです。

多分、先程おっしゃられたことと似ているのかなと思うのですけれど。東京には、何々街、問屋街、ここは革製品を売っているというところが、すごくエリアごとに強く出ていると感じます。なかなか札幌の規模だとそこまではいかないと思うのですけれども。おっしゃられたように私みたいに子供がいて庭付の一軒家が欲しいという人たちに向けて、ここはこういうコンセプトでいきます。

住んでいる人たちが満足するような…

たとえば、都心だけれど芸術系を楽しめますだとか、札幌駅北口でいうと北大があるから学生の活力を感じながら本屋さんがたくさんありますよとか、そういうようなエリアごとにエリアに住んいでる方たちがもっと意識して打ち出していけて、それと同時に我々のようなデベロッパーですとか、一緒にまちをつくっていくものもそれに参加していければ、もっともっと各方面で小さなエリアでも特色のある、住んでいる人たちが満足するようなまちづくりができるのかなと思いますね。

《辻井》
まちのリノベーションというのはエリアでどう価値を高めるかということが非常に大事だということですね。おっしゃった通りエリアカラーの作り方は非常に大事なポイントになってきそうですね。ありがとうございます。

《市橋》
自分は、まさにエネルギーの仕事に携わっておりますので、ガスと電気を皆さんにお使いいただいている立場として、当然建物一つ一つにガスと電気を供給するという考えなのですが、これからは、どちらかというと、まさにエリアで電気を融通し合う、熱を融通し合うという考え方に変わっていくべきなのだろうなというふうに思います。

《辻井》
それは、インフラのリノベーションを地域の仕組みに組み込むということなのでしょうか。

《市橋》
リノベーションというよりも、やはり効率よく使っていこう、無駄のないということですね。

たとえば、原子力発電が悪いとはなかなか言いにくい部分もあるのですけれども、原子力発電で電気を起こすと必ず熱が出ます。今その熱は全部捨てているのです。ですから海水温が上がり、周辺の海水は温かいのです。

そうではなくて、その熱をしっかり使いましょう。それをエリアで熱を分け合って融通し合う。例えばですけれども、我々も2年後に新しく社屋を建てるのですが、そこに天然ガスのコージェネレーションというものを入れて、そこで電気をつくろう。その余熱は、熱供給公社というのがあるのですけれども、そこに熱を全部出そうと。熱も捨てずに使うことがこれから電気と合わせて、それは環境にも繋がりますし省エネにも当然繋がっていくということで、建物ひとつひとつではなくてエリアで電気と熱を使っていくということが重要なのだなというふうに思っています。

建物ひとつひとつではなくてエリアで…

《辻井》
それもエネルギーのシェアみたいな考え方ですね。

《宮坂》
まちづくりをずっとやってきたのですけれども、まちづくりは誰かが犠牲になることもあるのです。良いことばかりではないと思うのです。だから本当にしようと思ったら、そこのために何かを捧げて、自分の利益じゃなくてまちのため、皆のため。しいては国民のために本当は政府がやってくれるのが根本なのですけれど。本来はそこからいくべきと思うのですが、反対に私たち小さな個人が自分のためではなくて誰かのためにして、それで皆が豊かになるという考え方をまちづくりの基本にしていけたらどこのまちづくりもうまくいくと思うのです。

一番、私も色々やっていて、行政が一番動きにくい。自分たちのことしか考えていないように感じることもあります。

行政が一番自分たちのことしか…なるほど

《辻井》
行政が一番自分たちのことしか考えていない。なるほど。

《宮坂》
だから、いくらいっても行政の壁に遮られてしまうというのが琴似のまちづくりをやっていても感じた点なのです。

《辻井》
それは、色々やってはだめ、これやってはだめ、一緒にやらないとか、そういうこと?

《宮坂》
規制があって、税金のこととか色々なことがあっても、皆が一生懸命やっているのに控除とかそういうものに関して、ここでだめですよみたいな。そうすると、やっぱりやらなくなってしまう方もいると思うのです。一生懸命、皆のためにやっているのに。だから行政がもう少し、本当にやってくれているのはどこだろう。

たとえば札幌市なら、札幌市のためにやってくれていることはなんだろう、というところをもう少しちゃんと見極めることのできる人たちになっていただけると、もっともっとまちづくりが広くやっていけるのかなと。

まちづくりは、大きな企業さんがドンと主導権を握ってやっていただけるともっと早いと思うのです。何たってお金、資金力がアレなので。そういうふうに下から、個人が一生懸命やって、企業が一生懸命やって、それなら行政もやるかと。多分、下からこうやってあがっていかなければならない時代なのかなということを感じています。

《辻井》
ありがとうございます。

《森オブザーバー》
今の宮坂さんの発言と、市橋さんの発言も気になっていて、まちが変化していくという場合、再開発という手法で最もドラスティックに変わっていっていると思うのです。

でも、今の話を聞いていくと、そういった手法に関わらずエリアとして何かを目指していくという視点が行政にも必要で、再開発は再開発法という法律に縛られて事業をやっていくわけじゃない。そこにこのエリアで何を目指すのかみたいなことをきちんと話していく。そこに宮坂さんがおっしゃった企業が参入するには何を目指すのかという目的とか機能とか、明確にあった方が企業は入りやすいですよね。

そういった視点を持っていくセンスというものがこれからのまちづくりを担う方々には必要なのではないですか。

《宮坂》
私の言いたいことはそれなのです。

私の言いたいことは…

やはり大きな企業さんを引き付けるだけのアイディアを出せる人材。下から一生懸命やっていくことを上に。本当は違うのですよ。一番上の皆が一生懸命やっているから皆がやっていくというのが本当はその方が楽なのですけれども、今の世の中はそうではないので。結局個人が一生懸命やって、これだけ一生懸命やっているのなら、ということで企業さんが参加して、企業さんが一生懸命やると行政も動くとか、そういう形の時代なのかな。

 

《森オブザーバー》
そういった計画力、企画力そして住民力を一緒に磨いてく必要があるのでしょうね。

《辻井》
今回は、まちのリノベーションあるいはリノベートを考えるというテーマで、皆さんにお話をいただきました。これは一回で終わるようなテーマではないので、協議会としてもまちの中心を考えるというテーマの中でリノベートの可能性を議論していくことになると思いますので、広げてまいりたいと思います。
今日は、皆さん、どうもありがとうございました。

 

《第7回》 ここまで

【THE座談会3】はこれが最終回です。最後までご覧下さりありがとうございます。

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【THE座談会3】
《第1回》 座談会メンバー、それぞれのまちの今
《第2回》 ライフスタイルの変化と交通の利便性の関係
《第3回》 まちの昼の顔と夜の顔、そしてエリアでの暮らし方
《第4回》 モノやコト、居住空間をシェアするということ
《第5回》 地域コミュニティとコミュニケーションの昔と今
《第6回》 エリアごとの個性をいかすエリアリノベーション
《第7回》 計画力、企画力、住民力を一緒に磨いていく

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